End of Summer
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#09 End of Summer

結成した当初より、私たちは場所に縛られることなくコレクティブ活動を行っていくことを想定し、過去のいくつかのプロジェクトにおいてもお互いに物理的な距離を持った状態で展開してきた。2019年8月、サバカンを代表して杉浦がエンドオブサマーのプログラムに参加した際は、箕輪と渡辺は東京、益永はニューヨークに暮らしており、その状況下で三つのプロジェクトを試みることとした。

 先ず行ったのは、2017年のプロジェクト#6「Sabbatical Company + Hanage」の中で演奏した自転車のベルを使った楽曲「Cycling Bell」を再制作である。

「Cycling Bell」は音楽家の野内俊裕氏と共同制作した4曲のうちの一作である。これら4曲には、「移動」のコンセプトが含まれており、 自転車で一緒に遠出をするイメージから、演奏に自転車の空気入れやベルを使用している。杉浦がポートランドで出会った出来事を通し、「時間と空間」「コミュニケーション」について再考しながら制作を進めた。

作成された「Cycling Bell / Portland Ver.」では、届かないベルの音に相手への想いをのせて投げかけることをイメージし、一つの映像作品にすることで繋がりを形にすることを試みた。19世紀に自転車が普及し始めた当初、女性にとって自転車は自由の象徴であったという。映像の中では、4人が奏でる何気無い会話のようなシンプルなベルのリズムが、お互いに相槌を打つように繰り返された。

再制作のプロジェクトを通し、私たちの活動が「時間を共有すること」の可能性への関心をもとに行われていること、またそのあり方の探求に常に寄り添っていることを再認識させられた。

 二つ目はZineの制作である。

2016年、コレクティブとしての最初のプロジェクト#01展覧会「夕方帰宅してみると」の中で、フランツ・カフカの短編「夕方帰宅してみると」をモチーフとしている。この物語に登場する鳥は「こうのとりのような鳥」とだけ形容され、主人公の男は鳥に「自分を背に乗せ、憧れの南の島へ連れて行くこと」を条件に、世話をして飛ぶ方法を教える。

春になると必ず故郷に帰る渡り鳥の行為は、様々な場所へ行ったときに故郷の存在やコミュニティーについて想う自分たち自身に重ねられた。私たちは、海を超えて大陸を移動する鳥が持つ力強さと自由で軽やかなイメージに共感し、以前から「こうのとりのような鳥」を探すかのように、鳥にまつわるイメージを撮影し集収してきた。

そして、ポートランドの鳥類のリサーチを並行しつつ、収集したイメージを元に一冊のZineにまとめることにした。製本されていく形態を鳥の姿に見立てながら、印刷した紙を羽ばたいている鳥、もしくは電線で休んでいる鳥のように、スタジオの宙を走る紐に設置した。そして完成されたZineは、サバカンがポートランドにたどり着いた証として、杉浦の手からポートランドで出会った人々の手へ渡っていった。

 そして最後に、三つ目の大きな目的として「Bitch」マガジン創始者の1人であるAndi Zeislerへのインタビューへ向かった。

実は私たちが最初にポートランドに興味を持ったきっかけは、メンバーの渡辺が2018年にニューヨークの書店にて「Bitch」マガジンを見つけたことから始まっていた。表紙にある鮮やかで力強い「Bitch」という文字が目にとまり手に取ると、日本では決して見ることのできないオープンでポップなフェミニズム雑誌であった。そして、私たちはその「Bitch」マガジンのオフィスがポートランドにあるということに辿り着く。

私たちは以前、「青い靴下が欲しい」という何気ない会話から発展したリサーチにより、2017年にプロジェクト#7 「Dyeing Socks」を立ち上げた。ここでは「Blue Stocking」という18世紀にイギリスで起こったムーブメントと、日本で初めて女性だけでつくった雑誌「青鞜」をモチーフにしている。

18世紀の英国、サロンで芸術や文芸の話をすることが男性のものだった時代に、ある女性たちは、遊興的な集いを知的なものにしようと意図し、サロンで文芸について語り合っていた。なかば嘲笑の意味合いも含みながら、そのサロンにいる知的な女性達は「blue stockings」と呼ばれるようになった。そしてその物語は、20世紀初頭の明治の東京に辿り着き、平塚らいてう先導のもと、女性たちによって発行された、雑誌「青鞜」の名前へと引き継がれた。

1996年に「Bitch」マガジンは、クールなマガジンを作りたいと考えた若者が立ち上がり、1ドルのZineからスタートした。現在では雑誌のみならずWebマガジンも開設され、アメリカのフェミニズム雑誌の代表の一つにまで成長している。「Bitch」マガジンは常に社会と向き合い、また運営という現実的な側面を持ちながらも、マガジン発行に対する設立当初からの理想を決して忘れず、信念を持って前進し続けている。彼女の言葉から、同時代に力強く活動を続けている女性たちのパワーを感じた。

私たちにとってコレクティブを始めたことは、「時間を共有」する中で生まれ、その時間がより深くより面白くなっていくポジティブな変化であった。「Bitch」マガジンの歴史や在り方を直接聞くことができた経験は、コレクティブ結成当初の思いと共鳴しながら、これからも大いに力になってくれることと思う。

 滞在中は、これら三つのプロジェクトの他にも多くの出会いがあり、一緒に過ごした時間の中で交わした何気ない言葉には、新しい創造と発想への可能性を感じるものが多くあった。それは、ポートランドという場所で出会った人々だからこそ生まれた時間だったのだろう。全ての出会いがこれからも長く続いていくと感じさせる大切なものとなった事が、サバカンにとって一番の喜びである。そして、ポートランドで杉浦が得た貴重な経験や発見は、リアルタイムでも、また帰国したのちも、日本にいる他3人のメンバーに改めて共有され、様々な新しい種を生んだ。

私たちの活動の大きなチャレンジとして、コレクティブの活動をより未開拓で未知な場所や方法を目指すというものがある。これからも現代の日本における女性コレクティブの在り方と、アーティストにとってのサバティカルな在り方を探求していきたいと考えている。

Updated : 9 February, 2022